お世話になっております。
理系男子の流儀」管理人の「やな」です。

先日、仕事で化学セミナーのためにお昼ごろ新宿に行った際のできごと。
宝くじの購入希望者により、宝くじ売り場に長蛇の列ができており、最後尾の方は購入まで数十分待ちと言われている状況を目の当たりにしました。


↓ ここの売り場



この方たちはなぜ投機的に貴重なお金と時間を使って当選確率の極めて低い宝くじを買うのか。
その思考は合理的ではないと考えられますので、その理由を紹介します。

お金をドブに捨てる人のイラスト(男性)




宝くじは「愚か者に課せられた税金」

期待値という概念を覚えていますでしょうか。
現在20代の私は中学校の数学の授業で習ったと記憶しています。

9-6. 期待値 | 統計学の時間 | 統計WEB9-6. 期待値 | 統計学の時間 | 統計WEB 

お金を賭けたゲームの場合に当てはめて、わかりやすく要約すると、
「各当選金額にその当選確率を掛けて合計した値」と言うことができます。
この算出した期待値がゲームの参加費を上回っていた場合は、統計学的にゲームに参加すると負ける確率よりも勝てる確率が高いということができます。

サイコロのイラスト

例えば、サイコロの目×100円がもらえるゲームに参加したとしましょう。
その期待値は以下の計算で「350円」となります。

100円×1/6 + 200円×1/6 + 300円×1/6 + 400円×1/6 + 500円×1/6 + 600円×1/6 = 350円

このゲームの参加費が例えば1回300円の場合、期待値350円の方が高いので、統計学的には参加すべきということがわかります。このときの参加費に対する期待値の割合は、350 / 300 =「117%」となり、参加する程、利益率はこの値に近付いて収束していくと考えられます。

極端な話ですが、300万円分 (=10000回)このゲームに参加できる場合は、351万円手に入ることが期待できるということです。





宝くじ売り場のイラスト


さて、本題の宝くじの場合を同様に考えてみましょう。
以下の販売本数・当選本数・参加費を2018年の年末ジャンボの前提条件とします。

年末ジャンボ宝くじ2018年 当選確率・期待値

  • 参加費:300円 / 枚
  • 販売本数:4.8億枚
  • 当選本数:表の通り

サイコロのゲームと同様に、1等から7等までの当選金額にその当選確率を掛けていきます。
例えば、1等の場合は、『7億円 × (1 / 4.8億枚) × 24本 =  「35円」』となりました。
同様に7等まで算出していき、その全ての合計が期待値となります。
結果として、年末ジャンボ2018の期待値は約「147円」と算出されました。
また、参加費は300円なので、参加費に対する期待値の割合は「49%」となります。

つまり、買えば買うほど購入金額に対する当選金額の割合が50%に近付いていくことになり、「購入者は平均すると購入金額の半分を失う」と言え、極めて高い損失率で損をするということが統計的にわかりました。

他のギャンブルの参加費に対する期待値の割合は以下です。
パチンコ:97%、ラスベガスのルーレット:95%、競馬:75%。
(出典元:臆病者のための億万長者入門)

いずれも店舗が利益を得るために、当然100%未満となります。
中でも宝くじはダントツで損失率が高いです。

宝くじは、「販売総額のうち、賞金や経費などを除いた約40%が収益金として、発売元の全国都道府県及び20指定都市へ納められ、高齢化少子化対策、防災対策、公園整備、教育及び社会福祉施設の建設改修などに使われている」そうです。
算出した期待値と、上記の使い道から、宝くじは「愚か者に課せられた税金」と呼ばれることがあると考えられます。

冒頭でお話しした宝くじ売り場に並んでいた方々は、私からすると、給料から多くの税金を引かれているにもかかわらず、自ら進んで追加納税しているようにしか見えない訳です。
宝くじの広告は、1等の最高当選金額だけを大々的にアピールし、当選確率や期待値を一切明示しないため、一部の思考停止した消費者層が射幸心を煽られて買ってしまうのでしょう…。





宝くじシミュレーターで損を実体験

宝くじシミュレーターというサイトがあります。
宝くじの実際の当選確率・期待値に従い、宝くじを買い続けるとどうなるか、現実を見せてくれるサイトです。

http://kaz.in.coocan.jp/takarakuji/sim-nenmatsu.html 【【考察】 宝くじで勝てる確率は現実的か 【愚者の税金】】の続きを読む